研究課題/領域番号 |
18360307
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
嶋田 志郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90002310)
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研究分担者 |
明石 孝也 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20312647)
清野 肇 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50281788)
川村 みどり 北見工業大学, 工学部, 准教授 (70261401)
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キーワード | 雰囲気制御 / 熱プラズマ / CVD / 機能性 / セラミックス / コーティング / 耐磨耗性 |
研究概要 |
TiN-PSZ二層膜作製時のH_2Oの導入パターンを変える雰囲気制御下で、Si waferとWC-Co基板上へTiN-psz二層膜を作製し、その微細構造観察と耐磨耗特性を評価した。 代表的な二つのH_2O導入パターンI、IIでH_2Oを導入して成膜した結果、良好なTiN-PSZ二層膜を作製できた。いずれのTiN-PSZ二層膜のx線回折図からも、トップコートのPSZ回折ピークと下地膜のTiN回折ピークが確認された。パターンIIで作製した二層膜の方がより緻密な構造を有しており、TiNの柱状組織が成長し、その上にPSZ層が析出し、二層化されていることが確認できた。この二層膜の断面TEM観察を行った結果、密に充填したTiN粒子の上にPSZ粒子がTiN膜に対してほぼ垂直に成長していることが分った。このPSZ層は巾30nm以下の微細な結晶粒で構成され、結晶粒子の間に偏在する隙間は20nm以下であり緻密な構造であった。 H_2Oの導入パターンI、IIで作製したTiN-PSZ二層膜のx線回折結果から、TiNとPSZの生成がsi上への二層膜コーティングと同様にWC-Co切削工具上にも確認された。パターンIIでWC-Co上に作製した二層膜断面のSEM像から、WC-Co上にTiNが柱状粒子として成長して密充填し、その上にPSZがコーティングされており、膜厚は2μm程度であった。また、表面のSEM観察より、表面に存在する凝集粒子はSi wafer上への二層コーティングと比べて、粗大化していることがわかった。パターンI、IIで作製した二層膜の切削試験(耐すくい面磨耗)の結果、市販TiN単層コートのみの切削バイトと比較すると、大幅な切削性能の向上が認められ、市販TiN-Al_2O_3二層コートと比較しても同程度の結果を示した。これはPSZが耐酸化、遮熱コートとして十分に機能した結果と考えられた。
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