(1) ストイキオメトリ制御による高誘電率酸化物の高品質薄膜・界面創成 これまでのTiOxに加え、SrTiOx薄膜をGaAs基板結晶上に堆積し、その特性の熱処理温度依存性を調べた。二次イオン質量分析計等種々の手法で分析した結果、薄膜組成が均一であることが分かった。堆積されたSrTiOx薄膜は所望のアモルファス母層が主要であることが分かった。p型GaAs結晶上に堆積したSrTiOx薄膜を用いたMISダイオードの電気的測定(CV測定)から、その比誘電率は100と高い値を示した。また明確な低周波反転CV特性を示しており、良好な絶縁膜/半導体界面が形成されていることを示唆している。p型GaAs基板結晶を用いた理由は、高速動作nチャネルトランジスタ構造に適用することを目的としているためである。リーク電流密度も10^<-5>A/cm^2から10^<-6>A/cm^2程度が得られ良好であった。更にリーク電流を低減するため、詳細な電流・電圧特性の測定を行ない、リーク電流発生メカニズムに対する検討を行なった。 (2) フォトキャパシタンス法による酸化物のノンストイキオメトリ欠陥解明 昨年度に引き続き、GaAs及びInP化合物半導体に加え、シリコン上のTiOx薄膜中の欠陥準位の計測を継続した。本年度はTiox薄膜に加えて、SrTiox薄膜のMIS構造を試作し、フォトキャパシタンス法により、ディープレベルの計測を行い、絶縁膜中の電子準位を電子的に初めて検出した。 上記(1)及び(2)の結果について2編の投稿論文を準備中である。
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