1、量子ドットの合成 (1)CuInS_2ナノ結晶の合成: 本研究の核をなす良質CuInS_2の提供を目指し、その合成方法を再度検討した。結果、反応時間の制御により、1.5nm〜3.5nmのナノ結晶を作り分けることができる新たな合成法を見出した。光吸収スペクトルの測定により、この大きさの範囲での励起子のエネルギーにおける量子サイズ効果を観測することにはじめて成功した。量子サイズ効果の最も大きく現れる1.5nmのナノ結晶でも励起子のエネルギーは2.25eV(波長550nm)であり、それ以上高い励起子エネルギー、すなわち短波長を実現するのは困難であることが示された。緑、青の蛍光体として使用可能な量子ドットとしてはCuGaS_2との混晶ナノ結晶が必要であることが明らかとなった。 (2)CuInS_2とZnSとのコアシェル型複合ナノ結晶の作製:CuInS_2ナノ結晶の結晶性を向上と、薄膜化による蛍光の短波長化を目指し、閃亜鉛鉱型ZnSのナノ結晶を種結晶としその表面にCuInS2薄膜を作製した。良質な閃亜鉛鉱型ZnSナノ結晶の合成方法を見出し、コア/シェル型ZnS/CuInS_2複合ナノ結晶を作製した。結果、僅かではあるがCuInS_2の蛍光の短波長化に成功した。 2、量子ドットの薄膜化 エレクトロスプレー装置の改良と、成膜パラメータの最適化により、所望の位置に量子ドット薄膜を作製する技術を確立した。 3、EL素子の作製および評価 スパッタリング装置による絶縁層A1203薄膜の作製条件を検討した。得られた条件を使用し、glass/IT0/A1203/量子ドット層/A1203/A1の多層膜素子を作製した。
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