研究課題
基盤研究(B)
1.ナノ結晶の合成CuInS_2に関しては、界面活性剤と錯形成剤として作用するアルキルアミンの添加量、および添加してからの保存時間により、カルコパイライト型とウルツ型のCuInS_2ナノ結晶の作り分けができた。いずれの構造のナノ結晶も粒径5nm程度で、光学吸収端は概ね710nm程度であった。ウルツ型のナノ結晶は蛍光性がなく、カルコパイライト型ナノ結晶では930nmに蛍光が観測できた。この蛍光は欠陥に起因するものと帰属された。さらに原料溶液を検討した結果、オレイルアミンに溶解したCuI、InBr3、トリフェニルホスファイトに溶解した硫黄と、トリオクチルホスファイトとの混合溶液を出発とすることで、カルコパイライト型CuInS2が合成でき、さらに反応時間を調節することで、その粒径を制御できることが示された。CuInSe_2については、通常の方法により作製したナノ結晶を一旦回収後、アミン溶媒中に再分散し200-300℃でアニールすると、ナノ結晶の結晶性の上昇に伴い蛍光波長が短波長ヘシフトし、かつ輝度が増大することがわかった。2.ワイドバンドギャヅプ半導体での被覆による高輝度化粒径約5nmのCuInS_2をZnSで被覆することで蛍光特性の改善を検討した。結果、吸収端からのシフトの小さい波長での蛍光帯が現れた。この蛍光帯は励起子の再結合に起因する可能性が高く、前記1の検討で粒径をさらに小さくできることが示されているので、ZnSで被覆したCuInS_2ナノ結晶で緑色、青色へと蛍光波長を短波長化する目処がたった。3.量子ドットの薄膜化とEL素子構造の作製ZnS-CuInS2混晶量子ドットのコロイド溶液を原料とし、エレクトロスプレー装置を使用した薄膜化の検討を行った。ナノ結晶の被覆有機分子および溶媒を検討し、ガラス基板上に目視で蛍光が観測できる量子ドット薄膜を作製できた。さらに、ガラス/透明電極/絶縁体/量子ドット/絶縁体/A1電極の多層素子構造を作製したが、EL動作を実現するには至らなかった。
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Proc. International Workshop on Nano Materials and Optoelectronic Devices
Proc. International Workshop on Nano Materials and Optoelectronic Devices (Guwanju, Korea)
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