研究課題
本研究では、巨大ひずみ加工を与えた材料の力学特性に対するひずみ勾配の効果に焦点を絞り、ひずみ勾配による組織微細化や材料の力学特性への影響を明らかにすることを目的としている。試料作製にはHPTCHigh Pressure Torsion)加工を用いた。HPT 加工は、円板形状の試料(例:直径10mm、厚さ0.85mm)を高圧縮応力下(例:5GPa)でねじる加工方法であり、回転回数によりひずみ量、ひずみ勾配を制御して与えることができる。また、試料形状が加工により変化しないため、回転回数に制限が無い。HPT加工によりひずみ量とひずみ勾配を独立に変化させた試料を用意し、以下の成果を得た。1.結晶粒微細化に及ぼすひずみ勾配の影響HPT加工において試料中心部は理論的に歪量0であるが、回転回数の増加に伴って硬さの上昇が認められた。このことから、ひずみ勾配の増加に伴うGN転位の高密度化とその後の結晶粒の微細化が起こったと考えられる。Fe-0.03mass%Cにおいて、97.6%圧延後の試料の硬さはHv2.4GPaであったのに対して、HPT加工後ではHv5GPaの2倍以上高い硬度を示した。形成した祖織は、層幅約100nmで加工方向に伸張した超微細結晶粒組織であった。ひずみ勾配が付与されるHPT加工のような不均一変形加工では、ECAP, ARB,圧延等の均一変形に比べて、得られる組織が微細であることから、ひずみ勾配の付与が結晶粒の微細化に有効であることが明らかとなった。2.大ひずみ勾配付与により作製した超微細結晶粒材料の力学特性HPT加工により作製した超微細結晶粒祖織からなるFe-11mass ppm Cの引張試験(真ひずみ真応力曲線)の結果、引張強度2GPa,破断伸び15%(均一伸び5%)程度の高強度・高延性を示し、優れた力学特性をもつことが明らかとなった。
すべて 2007 2006
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General Abstract : Electronic, and Photonic Materials Division, TMS (The Minerals, Metals & Materials Society), eds : L. Qing and S. Kang.
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