研究概要 |
平成19年度は以下の3項目の研究課題について検討を進めた。 1.ZnO微細結晶体作成における高効率化に関する研究 結晶成長の高効率化を実現させるためのインライン装置の製作を終了した。当初、結晶体をベルトコンベア状のガラス繊維に成長させる機構を検討していたが、ガラス繊維に付着した結晶核がわずかな衝撃で崩落してしまうことから、結晶成長部分を動かさずにアセチルアセトン亜鉛錯体原料を移動させる構造とした。この装置構造により、1回の実験で12.5gの量が確保でき、0.1gしか得られない初期の装置に比べて100倍の収量が確保できた。 2.可視領域におけるZnO光触媒の高効率化の研究 ZnO光触媒の高効率化には、太陽電池と同様な対生成キャリアの分離メカニズムが必要となる。太陽電池では、金属とのショットキー接合、ドーパントによるpn接合、異種材料によるヘテロ接合を利用し、これらの接合による電位勾配により対生成キャリアを分離している。一昨年度は金属(Pt,Au,Pd,Ag)とのショットキー接合を実現するためにZnO光触媒にこれらの金属を各々混ぜ合わせ、ガラス基板に接着したが、芳しい結果は得られなかった。平成19年度は化学めっき法を用いてAgの接合を試み、優れたAgの結晶をZnOワイヤー上に接合させることに成功した。Agの結晶の付着は、EDXで評価し、ワイヤー各部に不均一にAg微粒子が点在していることが確認できた。また、光触媒特性は10-30%の改善が確認できた。 3.可視光照射下において揮発性有機化合物(VOC)の分解挙動を定量化する分析手法の研究 VOCの分解挙動の手法については、感度が高い循環式を中心に進めてきたが、分析に非常に多くの時間を必要とするため、簡易測定法である流通式の方法を行い、分析時間の大幅な時間短縮が出来た。
|