研究課題
平成20年度は以下の2項目の研究課題について検討を進めた。1. ZnO微細結晶体作成における高効率化に関する研究昨年度は結晶成長の高効率化を実現させるためのインライン装置の製作を行い、高収率が得られることが確認できた。本年度は、装置の改良及び最適条件の得るための条件出しに注力し、真空度、昇華温度、容器内温度、昇華時間、昇華量、昇華と材料収集のサイクル時間等のパラメーターを変化させて最適化を試みた。昇華・再結晶化で得られたアセチルアセトンファイバーは重量、太さ、長さ等を測定し、各種昇華条件と形状の関係を明らかにした。また、平均的な収率は30%程度からスタートして、最終的には50%を超えることができた。2. 可視領域におけるZnO光触媒の高効率化の研究ZnO光触媒の高効率化には、太陽電池と同様な対生成キャリアの分離メカニズムが必要となる。太陽電池では、金属とのショットキー接合、ドーパントによるpn接合、異種材料によるヘテロ接合を利用し、これらの接合による電位勾配により対生成キャリアを分離している。昨年度は、化学めっき法を用いてAgの接合を試み、優れたAgの結晶をZnOワイヤー上に接合させることに成功し、光触媒特性が10-30%改善した。本年度は、可視光応答光触媒の応用例の1つである水の分解を視野に置き、異種材料によるヘテロ接合を試みた。ヘテロ接合材料にはGaNとZnOを使用し、ZnOファイバー上にGaNを化学めっき法によりヘテロエピタキシャル成長させた。Agの場合と同様に硝酸Gaを用いてGaの酸化物を形成し、それをアンモニア雰囲気中で窒化物へと変化させることを試みた。しかし、アンモニア中の水素がZnOを還元させてしまいZn金属として再蒸発してしまうという問題が発生してしまうことが明らかとなった。この問題は、低温化により解決することが出来ることは確認されているが、エピ成長とアンモニアの分解温度が比較的高温であることから、大きな研究課題が顕在化してしまった。
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