研究概要 |
半導体ナノ粒子を酸化物に分散させた複合材料は、次世代無機エレクトロルミネッセンス材料として期待される。赤、緑、青の3原色を良好に発光させるためには、ナノ粒子が当該波長に対応した粒径に制御されるこことが望まれる。そこで、当該研究では自己組織化半導体ナノ粒子を均一なサイズで酸化物マトリクス中に分散させた複合材料を,ナノグラニュラー構造薄膜作製法を用いて創製することを目的とする.本年度は,半導体ナノ粒子および酸化物マトリクスとして,様々な材料の組み合わせによる薄膜作製を精力的に行うと共に,その諸特性評価を並行して行った。その結果、1.Geナノ粒子をAl酸化物中に分散させたGe/Al-O薄膜において、Geの平均粒径は、成膜時の酸素分圧を変化させることによりBimodal(二種類の平均粒径による分布)からSingle(単一の平均粒径が支配的な粒径分布)へ変化することが明らかになった。X線小角散乱法により見積もられた典型的な平均粒径は約3.5nmであり、他方、TEM観察より同等サイズのGeナノ粒子がAl-O中に分散されていることが明らかになった。さらに、各組成とSingle分布との関係を詳細に検討した結果、Geナノ粒子のSingle分布はAl酸化物の化学量論的組成(Al_2O_3)線上において得られることが明らかになった。したがって、当該Single分布線上においてGe濃度を変化させることにより、波長選択を任意に行うことができる。2.高屈折率および強誘電体であるTa_2O_5をマトリクスとしたGe/Ta_2O_5薄膜について、Ge組成と共に屈折率が約10%変化することが明らかになった。したがって、新奇な特性として光スイッチ用光導波路構造用材料として有望であることが明らかになった。3.マトリクス材料探索として不純物添加CdCoO系固溶半導体のバルク合成を行った結果、Bi不純物を添加した場合、良好なキャリヤ生成が示唆され、磁気特性は室温において常磁性であった。4.半導体ナノグラニュラー構造薄膜におけるナノ粒子用材料の探索として、CaSe系固溶半導体材料の禁制帯幅などの基本特性を明らかにした。
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