研究概要 |
本年度も引き続き,半導体ナノグラニュラー薄膜の創製を目指すと共に,前年度において得られた有望な材料について,ナノ粒子およびマトリクスの最適化と粒径サイズ均一化の検討を行った.さらに,前年度の機能性酸化物をマトリクスとした際に新奇機能の発現が観測された場合,新しいデバイス概念の創出や既存デバイス代替調査を行い,当該薄膜材料の応用化の可能性についても検討を行った.1.Geナノ粒子を酸化物マトリクス中に分散させた複合材料薄膜において,Ge粒径サイズの均一化の検討を行うために,TiO_2をマトリクスとして薄膜作製を行った.その結果,Geの平均粒径サイズが約4mmである場合のサイズ分布は2〜14mmの間で大きく変化した.これに対して,先の研究において検討を行ったAl酸化物をマトリクスとした場合,粒径サイズ分布は±1mm以下に制御された.したがって,マトリクスとしてAl酸化物がより均一なGeナノ粒子粒径分布をもたらすことが明らかになった.次に,Ge/Al-O膜の発光特性を検討するために,rfスパッタリング法によりSi基板上に当該薄膜を作製し,950℃において1時間熱処理を行った.その結果,当該薄膜の室温におけるフォトルミネッセンススペクトルは〜3.0eV付近にブロードなピークを有することが明らかになった.これは、Ge酸化物に関係した欠陥を起源とする発光であると考えられる.2前述のTio2をマトリクスとし,Ge濃度を6〜8at%とした場合,アナタース構造が支配的なマトリクスを形成することが明らかになった.この構造は、半導体ナノ粒子を用いた次世代太陽電池のマトリクス構造として適しており,Ge微量添加によりマトリクス構造を制御できることが明らかにした.
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