研究概要 |
時効析出型の展伸マグネシウム合金開発の基礎的知見を確立するために、Mg-Zn-Al-Mn合金、Mg-Zn-(Ag,Ca,Zr)合金、Mg-Sn(-Zn)合金を試作し、それらの時効硬化特性ならびに時効中の微細組織変化をTEM/3DAPにより詳細に解析した。Mg-Zn-Al-Mn合金では70Cでの予備時効後の180Cの高温時効によるピーク硬さならびに引っ張り強度が向上したが、これは予備時効中に形成する球状G.P.ゾーンが高温時効で生成する析出物の格生成サイトとして作用し、そのためにピーク時効での析出物の微細分散化が実現されるためであることを見いだした。また展伸マグネシウム合金の基本形であるMg-ZnにAg,Ca,Zrを添加し、時効硬化特性を測定したところ、これらの元素の複合添加により大幅な硬度上昇がみられた。いずれも生成する析出物相は同じであったが、析出物が著しく微細化し、それらの数密度が上昇していた。現在、3DAP解析によりこれらの微量添加元素が組織形成に及ぼすメカニズムの解明に取り組んでいる。またMg-Sn合金において0.5at.%Znを添加することにより2元系よりも時効硬化が促進されることを見いだした。微細構造解析の結果、これはZn添加により異なったバリアントのMg2Sn相がより微細に分散するためであることを明らかにした。これらの基礎研究結果をもとに、大型押し出し材を作製し、引っ張り強度を調査していく予定である。
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