研究概要 |
本年度(〜平成20年3月31日)の研究実施計画昨年度はMg-Sn合金にZn,Zrを添加し、180Cの時効、低温時効後の高温での時効(2段時効)、加工熱処理による著しい時効硬化現象が現れることを調査し、それらの合金の硬さと微細組織の因果関係を詳細に検討した結果、いずれも時効硬化が顕著になる組成・温度域でMg_2Snの析出による微細組織が著しく微細化されていることが分かった。本年度はこれらの合金の3次元アトムプローブ分析を行い、2段時効のメカニズム解明を行った。またこれと平行して商用展伸合金の基本型であるMg-Zn合金に希土類元素、Ag,Ca,Zrを微量に加えた合金についてもその時効析出過程を調査し、時効硬化の顕著な合金については長岡技術科学大学の鎌土教授と共同で大型押し出し材を試作し、時効材の引っぱり強度測定を行い、実用展伸合金としての可能性を検討した。 時効硬化特性の有望な合金について、それらの微細組織をTEM観察し、組成をEDS,HAADF,GIFにより定性的に解析、さらに3DAPを用いて、析出物中の溶質ならびに微量添加元素の分布を原子レベル分解能で解析し、微量元素が時効組織変化に及ぼすメカニズムを考察した。その結果からCaならびにAgの微量添加がどのようなメカニズムで時効のキネティクスを促進するのかを考察、それに基づき合金組成の最適化、2段時効や加工熱処理による組織の微細化と時効硬化の関係を明らかにした。以上の結果、降伏応力320MPaの高強度展伸材を開発することに成功した。
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