研究概要 |
Mg-Sn合金にZn,Ag,Caなどを添加した合金ならびにMg-ZnにAg,Ca,Zrなどを添加た合金で時効硬化が2元系に比して著しく促進されることを見いだし、これらの合金から大型鋳造材を作製し、引っ張り試験、時効により強度変化を調査し、Mg-Sn-Zn系合金が低温での押し出しに適した展伸材であること、さらにMg-ZnにAg,Ca,Zrを複合添加した合金が押し出し材で300MPaの降伏強度、T6処理した押し出し材で320MPaという極めて高い降伏強度を示しつつ、延性も15%を超える優れた展伸材であることを実証した。 また低温時効後の高温での時効(2段時効)、加工熱処理やさらなう合金組成の最適化によって、より機械的特性の優れた展伸合金開発を行った。基本的に手法は同じで、まず様々な合金元素を添加したMg-Sn,Mg-Zn,Mg-Al-Zn合金に微量元素を添加し、時効硬化に及ぼす影響を調べる。ピーク硬さでHV>90の材料から大型鋳介を試作し、それを押し出し、押し出し材、T5,T6熱処理材の引っ張り強度を調査する。降伏強度320MPaを超える材料について微細組織を詳細に解析し、さらに2段時効などの熱処理を試みた。Mg-Bi-Zn合金でプリズム面に平板の析出物が形成され時効効果性をしめすこと、Mg-Ca-ZnのCa:Zn=1:1の合金で単層規則化GPゾーンの形成により優れた時効硬化性がえられること、Mg-Zn-Li合金の時効硬化にCaの微量添加が有効なこと、Mg-Sn-Al-Zn展伸合金で時効析出処理によりクリープ特性が向上し、ZK60相当の強度を持ちクリープ特性に優れた合金などを見出した。
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