研究概要 |
18年度までの研究では大きな異方性磁界を示した試料において磁化方向から期待される方向(磁場に垂直な方向)とは90。ずれた方向に散乱強度の極大が観測された。この極大方向は異方性磁界より小さな磁場では磁場強度の増加に伴い回転することを明らかにした。これを踏まえ,19年度は熱処理を行って異方性を弱めたグラニュラ試料および異方性を付与した合金リボンを参照試料として弱磁場中で測定し,異方性磁界の大きなグラニュラ材との比較を行った。この結果,異方性を弱めたグラニュラ試料でも磁場強度の増加に伴い、散乱強度極大の回転が確認できた。さらに、熱処理材では偏極中性子ビームを利用した測定で散乱強度極大の非対称性がみられ、平均磁化方向からのゆらぎが小さくなっている訳ではなく、試料の面直方向に傾いている可能性が見出された。このことは付与した磁気異方性が除去できる物ではなく,磁性体に必ず出現するものである可能性を示す物である。この起源としてCo粒子の磁歪とそれを取り囲むガラス相の緩和が関係している可能性があり,今後この視点で更に検討を行う予定である。
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