研究概要 |
本年度は,深紫外線に対する受光感度の利得特性と永続的光伝導(PPC)特性との関連を調べ、その機構を理解すること、および受光感度を向上させたダイヤモンドフォトディテクターを開発することを目標とした。その結果以下の成果を得た。 (1)ショットキー型フォトダイオード(SDPD)および金属-ダイヤモンド-金属型フォトダイオード(MSMPD)ともに,ボロン濃度を増加させるとともに深紫外線に対する受光感度の利得が増加し,同時にPPCの時定数も増加することがわかった. (2)二つのデバイスに観測される光応答スペクトルにはダイヤモンドのバンド端の吸収に対応する光応答に加えて,新たに260〜270nm(〜4.6eV)での強い光応答が再現性良く観測されることも判明した.この光応答はボロン濃度,利得特性およびPPC特性に関係なく,観測されることもわかった. (3)応答速度を1秒以下にするためには,ボロン濃度を1E15cm^<-3>以下にする必要があることがわかった。 (4)SDPDの直流光伝導の光電流-印加電圧特性の整流特性から,光伝導を担っている主たるキャリアは正孔であることが判明した. (5)利得特性およびPPC特性を同時に説明するために,トラップ寿命の長い電子トラップの存在を仮定したモデルを提案した. (6)SDPDとMSMPDの長所を取り入れた新しい構造をもつMSM型SDPDを開発し,紫外線/可視光ブラインド比10^8を達成することに成功した.
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