室温クリープは、チタン、マグネシウムを含む六方晶金属及び合金に特有の変形メカニズムである。現時チタン合金は宇宙航空用構造材料として広く使用され、特にファスナー材としても使用されるようになってきており、クリープによる緩和は構識物の破壊に繋がる恐れがあり、室温クリープはエ業的に重要な問題となっている。我々は、室温クリープ領域では、粒内で一つのすべり系のみが働き、転位の切り合いが起こらず、加工硬化が顕著に現れないため、クリープ変形が持続する、ということを明らかにしてきた。しかし対称性の乏しい六方晶において、たった一つのすべり系ではフォンミーゼスの条件を満たすことができず、粒界に堆積した転位は何らかのメカニズムで緩和される必要がある。 そこで本研究は、室温クリープ領域で起こる転位の緩和構を解明するために行った。種々の粒径を持つ純亜鉛(99.995%)を試料とし、室温クリープの粒径依存性の調査、室温クリープ試験後にEBSDとAFMを用いて粒界近傍の変形を観察した。その結果、以下のような結論を得た。(1)室温クリープにぱ、粒径が粗大になるとひずみ量が低下するという粒径依存性が存在する。(2)亜鉛の室温クリープ領域の見かけの活性化エネルギーは18kJ/molであり、通常の拡散が起こりにくい。(3)粒界近傍に転位が堆積し、約5度の格子回転が観察された。(4)室温クリーフで粒界すべりが観察され、0.24μmのすべり量が測定された。
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