前年度までに複雑な3次元結晶構造に微粒子を配列できるシステムの作製、配列条件の最適化、配列する球形単分散錫粒子の作製を中心に実施してきた。本年度は最終年度として配列精度や本システムの有効性を明らかにすることを主目的に実施した。 昨年度に引続き粒子配列精度を評価した上で、本法による粒子配列体がフォトニックバンドギャップを発現するに十分な周期構造性を有するものであるかどうかを単分散粒子の粒度分布も考慮して検討した。特に、球の大きさのバラツキがフォトニックバンドギャップの発現に及ぼす影響を平面波展開法によるシミュレーションにより検討し、バンドギャップの範囲およびギャップ-ギャップ中間比に対する球の大きさのバラツキ(粒度分布)の影響を明らかにした。また、配列精度が5%でバンドギャップが急激に減退することを昨年と同様に明らかにし、その結果から、用いた球形単分散粒子のバラツキは妥当なものであり、また、粒子配列精度は十分なものであったことを再確認した。 作製した反転ダイヤモンド型フォトニック結晶内部の3次元的構造健全性をX線マイクロCT法(メーカーに依頼)を用いて評価し、高精度微粒子配列装置により作製した人工結晶は、製造欠陥が無く、かつ、十分な配列精度であることを明らかにした。 テラヘルツ時間領域分光法により結晶全方位の透過特性を測定し、1THz近傍に完全フォトニックバンドギャップが発現することを実験的に確認し、1THzフォトニック結晶フィルターとして動作することを実証した。 以上から、申請者が提案した新技術の有効性を示した。
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