研究概要 |
互いに混じり合わない電解質水溶液と有機液体からなる二液相界面において電析を行うと,電析物が界面に沿って二次元的に薄膜が成長する.この薄膜の成長機構に対して二液相界面がどのような役割をしているかについては,未解明の問題が多く残きれている.そこで,本研究では,電析時における薄膜成長と界面の役割を明らかにするために,成長にともなう界面張力変化に着目した.そのため,前年度において表面張力波(リプロン)の周波数が界面張力に依存することを利用して,リプロン周波数をレーザー弾性散乱法により経時的に測定する装置を構築した.この装置を,酢酸ブチル/硫酸亜鉛水溶液界面の界面張力測定に本装置を適用した結果,リプロンの強度が非常に微弱であり,薄膜の成長にともなう界面張力変化を精密に測定することに至らなかった.この装置に関してはひきつづきレーザー強度や光学系の改善が必要であるといえる.そこで,亜鉛薄膜の成長にともなう界面張力変化をWhilhelmy法によって測定した結果,薄膜の成長前縁において界面張力の減少が観察された.このことは,薄膜の成長にともなって二液相界面上に界面張力差が生じていることを示唆するものであった.また,シャドウグラフ法によって溶液内を光学的に可視化した結果,電解質水溶液内の薄膜成長先端に渦状の液体流が観察された.以上のことから,薄膜成長時において成長先端において生じる界面張力差が液体流を誘起し,これが成長先端の濃度減少を解消するたあに,薄膜が界面方向に優先成長すると結論づけられた.
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