研究概要 |
我々は,これまでに針状微細電極先端からの電界放出およびそれに続くマイクロアークの生成による微細加工プロセス(マイクロ熱加工)に独自に取組んできた.本研究では,このマイクロ熱加工プロセスの高度化を目指し,高い電界放出,あるいは高密度プラズマ生成が期待できる微細電極素子の作製とその特性評価を行った.本研究で得られた知見を以下に示す. 1.フェムト秒レーザリソグラフィーによる化学増幅型ネガ/ポジレジストのパターニング特性評価を行い,多光子吸収による内部露光を確認するとともに,レーザパルスのレジスト中でのフィラメンテーションを利用した高アスペクト比パターニング法を提案した.また,プラズマエッチングとの複合プロセスにより,絶縁材料であるSiO_2薄膜の立体的表面加工を実現した. 2.カーボンナノチューブの針状微細電極先端部への位置選択合成電界放出特性に優れたカーボンナノチューブを針状微細電極先端部に合成し,その電界放出特性評価を行った.フェムト秒レーザをリソグラフィー露光源として用いることで,3次元形状である針状電極への触媒金属のパターニングを行った.その後,プラズマCVD法でカーボンナノチューブを成長させた.真空雰囲気下において,この微細電極をステンレス板に近づけて電流-電圧特性を評価したところ,優れた電界放出特性を示した. 3.アレイ型マイクロプラズマ素子の作製半導体プロセスを用いて,Siウェハー中にマイクロプラズマ生成のためのキャビティアレイを作製した.カソードSiの異方性エッチングにより,逆ピラミッド構造を形成するとともに,ルーフ状のSiO_2絶縁層を作製し,最後にアノードとしてニッケル薄膜/Cuメッシュを形成した.大気圧下でのプラズマ生成を確認した. これらの成果は,学術雑誌や国内外の学会において発表した.
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