研究概要 |
電解析出法により、結晶粒サイズが約5〜6nmで、W含有量が約18at.%材と20at.%材を作成した。紫外線フォトリソグラフィー法を用いて、試験片平行部長さを10mm、平行部幅を0.1mmと0.2mmの試験片を作製した。1.96,49.0,98.0,326.7及び600.0MPaの引張応力下で、600℃まで定速加熱を行なった.昇温速度は10℃/minとした.両Ni-W合金ともに、約350℃付近から、大きな伸びが観察され、X線回折測定の結果から、結晶粒成長の開始とともに、伸び変形が顕著に進行することが明らかとなった。また、その伸び変形量は、低W含有材の方が非常に大きく、引張応力1が326.7MPaと600MPaにおいて、600℃まで加熱すると、それぞれ、6.4%及び9.9%の伸びを示旨した。一方、高W含有材における同様の条件下での伸びは、それぞれ2.7%及び7.2%となり、高温でのクリープ変形挙動は大きく抑制されることが明らかとなった。陽電子消滅測定を行ったところ、低W含有材の結晶粒界面は、Ni原子が多量に偏析していたことから、高温クリープ変形が顕著に生ずると推定された。このことから、W含有量が増加すると、粒界面に偏析するNi量が減少し、高温クリープ変形量が大きく抑制されると考えられた。これらの知見を利用すれば、実用化に適したクリープ性能を有する合金設計が可能になるといえる。また、引張-引張型の疲労試験を実施した。疲労限度(σw)は、試験片平行部幅が1mmでは200MPaであったのに対し、試験片平行部幅が0.1mmにおいては,1180MPaを示し、大きなサイズ効果を生じた。
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