研究概要 |
本研究は極めて精密な新規電気化学ナノ加工プロセスを開発し,その複合化による高精度マイクロ化学システムの構築へと展開することを目的としている.特に電気化学反応系のもつ原子分子レベルでの精密な制御性を活かした,精密かつシンプルなナノ加工プロセスの構築に力点を置いている.最終年度である本年度は,これまで2年間に得た検討成果を基に研究を進め,以下のような成果を得た. (1)位置選択的Si電解エッチングによる微細孔アレイー括形成プロセスの確立とシステム形成への応用:従来の検討で確立した,光照射援用Si電解エッチングによる位置選択的微細孔アレイ形成プロセスについて,同一径の初期開口パターン配列から,エッチング条件により口径を制御した高アスペクト比微細孔形成の実現および高精度化をはかり,10nm〜10umオーダーの範囲での口径制御を達成すると共に,その形成メカニズムを解明した.さらにこれを用いたナノノズルアレイ型リアクター等への展開を図った. (2)反応プロセスの詳細な理論的・実験的解析とプロセス設計:無電解析出法による金属ナノ構造形成おける析出反応系を中心に,密度汎関数法を用いて電子放出過程および金属析出過程の双方に対する理論的モデル構築を行った.特に非平滑表面における触媒活性作用について初めて明らかにすると共に,モンテカルロ法による固液界面反応場のモデリングなど,新たな概念にもとづく系へと展開させた. このように,本研究により,精密なナノ構造体を高精度で形成できるプロセス設計の方法論を確立すると共に,形成反応メカニズムの基礎的理解とモデリングの体系化も実現した.これらの成果は,新規な機能ナノ構造体形成プロセスやそれを用いた種々の新規なデバイス・システム構築に寄与するものであり,今後も継続して多角的に研究を展開していく予定である.
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