研究課題/領域番号 |
18360360
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 聰 東北大学, 大学院環境科学研究科, 助教授 (70133048)
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研究分担者 |
長坂 徹也 東北大学, 大学院環境科学研究科, 教授 (30180467)
横山 一代 東北大学, 大学院環境科学研究科, 助手 (50374997)
中島 謙一 東北大学, 大学院環境科学研究科, 助手 (90400457)
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キーワード | エコマテリアル化 / 省資源 / ルチル / 相平衡 / 希酸浸出 / イルメナイト |
研究概要 |
平成18年度に得られた結果をまとめると次のようになる。 1.流動層を用いたイルメナイト鉱石の酸化挙動解析:流動層のコールドモデル実験を予め室温で行い、流動化のためのガス流量として、流動化最小速度の計算値の約2.2倍の0.124m・S^<-1>(5000cm^3(STP)・min^<-1>)と決定した。1173及び1223Kにおける酸化実験は、5%O_2-Ar混合ガスにより行った。温度による差はほとんど無く、約20分で酸化率がほぼ1に達し、鉱石の主な相であるイルメナイト(FeTiO_3)が酸化反応:2FeTiO_3(s)+1/2 O_2(g)=Fe_2TiO_5(s)+TiO_2(s)によりシュードブルッカイト(Fe_2TiO_5)とルチル(TiO_2)の2相に転化したことを酸化前後における試料のXRD及びEPMA分析により確認した。この結果、流動層による酸化条件は1173〜1223K、30min程度でよいことが分かった。 2.酸化鉱石の酸浸出機構の解明:まずFe_2TiO_5の浸出挙動を明らかにするため、合成Fe_2TiO_5 0.5gと硫酸溶液25mlをホットプレート上で加熱し、溶液温度が90℃に達した後、6、12、24時間保持した。ここで酸濃度は、(1+5)、(1+1)硫酸とした。括弧内前者は硫酸、後者は蒸留水を示す。その結果、Fe_2TiO_5の溶解には、(1+5)硫酸では12hを要するが、(1+1)硫酸では6hで十分であることが分かった。次に、流動層で酸化した鉱石について同様な浸出実験を行ったところ、Fe_2TiO_5相は90%程度浸出したが、酸化で同時に生成したTiO_2相も約50%浸出されてしまうことが分かった。この原因を明らかにするために、試薬のTiO_2についても浸出実験を行い、ほとんど浸出しないことを確認した。従って、酸化鉱石中のTiO_2相の浸出挙動について試薬との違いをさらに調査中である。 3.環境影響と経済効果の分析・評価:上記2.の酸浸出について、最適条件を決定するに至っていないので、現段階での分析・評価は困難であり、決定次第、実行する。しかしながら、現行プロセスのチタンスラグ法あるいは硫酸浸出法(鉱石の全量濃硫酸浸出)が大量のエネルギー消費、使用薬品・浸出残液の処理や廃棄物発生、環境負荷で問題を要しているので、低温における酸化により鉱石中のチタンの約半分をルチルに出来ることは確実なので、製造時の投入エネルギー・資源および環境負荷のほぼ半減を達成できるものと評価される。
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