層間絶縁膜の低誘電率化実現のためには、膜への空孔(k=1.0)導入が必須となる。しかし単純に多孔体の空孔率をあげる、つまり低密度化すると機械的強度が著しく減少し、研磨処理などの後行程に耐えることができない。そこで、低誘電率特性と配線構造に耐えうる機械的強度を両立する新材料が必要となる。本研究では、周期的構造を有するポーラスシリカに着目し薄膜化を行った。周期的細孔構造を有するシリカは、応力が均一にかかることから、機械的強度の優れた多孔体薄膜であることが期待される。しかしながら、ポーラスシリカ薄膜は親水性であり、多くの水(k=80)を吸着しやすいので低誘電率化するにはこの薄膜を疎水化する必要がある。そこで、本研究では周期構造を有するポーラスシリカ薄膜内にトリメチルエトキシシランを蒸気で供給し、薄膜内に有機基を導入することで薄膜の疎水化を行った。その結果、疎水化処理を行うことによって比誘電率が1.5-1.7という非常に低い値が得られた。本手法を用いることによって機械的強度に優れた低誘電率半導体層問絶縁膜が合成できた。
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