研究概要 |
本年度は, 昨年に引き続き二酸化炭素加圧下で液相反応を行い, 二酸化炭素加圧の反応制御因子としての有効性を実験的に検討した。対象反応として(1)フェノールの水素化と(2)芳香族ニトロ化合物の水素化を行った。(1)ではアルミナあるいは炭素担持ロジウム触媒を用いた。アルミナ担持触媒の場合, 二酸化炭素加圧下では反庫初期に反応が停止してしまった。その要函は逆水性ガスシフト反応で一酸化炭素が生じ, ロジウム活性点に吸着するためと考えた。炭素担持触媒ではそのような反応の停止は認められなかった。60%程度の転化率までは反応生成物分布に二酸化炭素加圧の影響は見られない。しかし, 高転化率領域では加圧した方がシクロヘキサンノンの選択率を高くすることが出来ることを見出した。シクロヘキサンノンを反応物とした実験等から, 加圧二酸化炭素はシクロヘキサノンの水素化を抑制することが分った。本反応系は, 有害な有機溶媒を使用せずに高転化率でも高いシクロヘキサノン選択率を達成でき, グリーンで効率的な実用的に有用なシステムである。(2)では市販の担持ニッケル触媒を用いてニトロベンゼンの水素化を検討した。加圧二酸化炭素下で水素化を行うと転化率によらず目的生成物のアニリンがほぼ100%の選択率で得られることを見出した。貴金属触媒の方が反応速度は大きいが, 不要副生成物が生成するので, 実用的にはニッケル触媒を用いゆる方が有利である。高圧その場FTIR測定で高圧二酸化炭素と反応物および反応中間体との分子間相互作用を検討した。その結果, ニトロベンゼンの水素化速度が低下し, ニトロソベンゼン以降の反応は加速される。これが高アニリン選択性の主因であることを示すことができた。本反応系でも有機溶媒は使用しておらずグリーン化が図られている。
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