1.回分型触媒反応装置に過酸化水素の再分解を抑制するための臭化ナトリウムを加えた塩酸酸性水溶液を加えた。次に、触媒として5wt%パラジウム担持炭素を加え攪拌下で懸濁させた。固体電解質型水電解装置を用いて水電解で生成した水素と酸素を触媒反応装置に吹き込み過酸化水素の合成実験を行った。過酸化水素生成速度に及ぼすスラリー濃度、気体流量、温度、攪拌強度の影響について検討した結果、本実験条件下では反応溶液中の溶存気体濃度の影響が大きいために、過酸化水素生成および自己分解の反応速度と気体の溶解度との関係から過酸化水素生成には約10℃が最適な温度であることがわかった。過酸化水素生成速度は供給気体濃度の増加と共に増加することを明らかにした。また、スラリー濃度にも最適値が存在した。これは触媒濃度が増大すると生成した過酸化水素の自己分解速度が加速することを示している。溶解度の影響が大きいことから、次に水素および酸素の溶解度を上げるため反応溶液中にメタノールを加えたところ、過酸化水素の生成速度が一桁増大することがわかった。 2.回分型触媒反応装置内に、直接白金電極を挿入して懸濁触媒内で直接水素と酸素を生成させて、過酸化水素の合成を行った。その結果、1.で述べた回分型触媒反応装置を用いて同じ条件で実験した結果に比べて過酸化水素生成速度が一桁増大した。これは、反応溶液内で直接水素と酸素の微細気泡が発生するので、水素と酸素が効率よく溶解したことや、生成した酸素がカソードにおいて還元反応によって過酸化水素が生成したことが原因であると考えられる。
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