1.昨年度に引き続きパラジウムカーボン触媒を被覆した内径1mmのシリコンチューブをマイクロリアクターとして、これにSPE電解槽を接続し、マイクロリアクターによる過酸化水素の合成を行った。本年度は、さらにリアクターのコンパクト化を目的として積層型マイクロリアクターを作製した。5枚のアクリル板(3cm×7cm、厚さ1mm)に切削加工によって幅1mmの貫通したマイクロチャネルを作製した。これらを6枚のシリコンシートを交互に積み重ねて積層型マイクロリアクターとした。どちらのマイクロリアクターについても、Pd担持炭素触媒の県濁溶液をマイクロチャネルに流通することでシリコンポリマーの表面に触媒を保持させた。 2.マイクロチューブリアクターでは、電流値を0.1A、チューブの長さ2mで過酸化水素が6.7×10^<-3>mol/L生成するが、これ以上電流値を上げても長さを長くしても生成量は変化しなかった。これは水素による過酸化水素の分解が起こり、反応が平衡状態になったものと考えられる。これらのデータを基にして集積型マイクロリアクターを設計した。 3.集積型マイクロリアクターを用いた過酸化水素の合成でじは、0.1mol/L HC1水溶液を反応液として、反応温度10℃、液流量3mm^3/s、電留置0.2Aの条件で実験を行った結果、8.3×10^<-3>mol/Lの過酸化水素が生成した。また、反応溶液中の塩酸濃度を10^<-7>mol/Lまで減少させても。生成する過酸化水素の濃度はほとんど変化せず、純水を用いた場合にも過酸化水素が希塩酸水溶液の場合の90%程度は生成することを明らかにした。
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