コロイド結晶をテンプレートに用いたマクロ多孔体の合成および応用に関する研究が近年活発化している。これまではコロイド結晶粒子間に硝酸塩を含浸後、蓚酸処理またはアルカリ処理による合成法が報告されている。しかし、この方法は単-金属酸化物には有効であるが、複合金属酸化物には応用し難いという問題がある。本研究では、コロイド結晶を構造有機体として、これがアシストする多孔性ペロブスカイト酸化物をエチレングリコール溶液を用いる方法で合成することを試みた。 ポリスチレン懸濁液を遠心分離して得られたコロイド結晶粒子間に(球径161±10nm)に硝酸ランタン六水和物と硝酸鉄九水和物のエチレングリコール溶液を染み込ませた。乾燥後の試料を空気気流中、600℃で昇温し、5時間焼成した。得られた赤茶色の固体のSEM観測、粉未XRD測定およびBET測定を行った。 SEM観測より規則的なマクロ多孔構造が観測された。細孔径は96±7nmでポリスチレン球径と比べて約40%収縮した。壁の厚みは20±2nmであった。粉未XRDパターンより鉄やランタンの酸化物や炭酸塩等の不純物の含まない結晶性のLaFeO_3の生成が確認された。Scherreの式から結晶子は23nmと算出され、壁は結晶子ほぼ1つ分の厚みであった。比表面積は27m^2/gであった。以上より、マクロ多孔性が粒子全体に広がっていることが確認された。 次に、コロイド結晶のかわりにカーボンナノファイバー(CNF)を構造有機体アシストに用いて、形状および構成元素を制御した複合金属酸化物ナノチューブ、ナノファイバー合成を行った。さらにこの方法を応用展開し、CNFをマイクロ構造体(本研究ではQuartz Wool)上に触媒法で成長させ、これらをテンプレートにすることでマイクロ構造体上にLaMriO_3ナノワイヤーを三次元網目状に固定化した新規ナノ・マイクロ構造体触媒を調製した。固定化したLaMnO_3ナノ材料は高い比表面積を有しており、調製したナノ・マイクロ構造体触媒は既存のLaMnO_3触媒より高いプロパン酸化活性を示した。
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