三次元規則的マクロ多孔構造体を単分散PMMAコロイド結晶を有機構造体アシストとして合成した。様々な条件を検討した結果、コロイド結晶のガラス化転移温度以下で、原料のエチレングリコールの硝酸酸化による金属シュウ酸塩の形成が起こることがマクロ構造形成にとって最も重要な因子であることが明確となった。この知見をベースに、完全酸化能の優れたペロブスカイト型複合酸化物に様々なマクロ孔径を持った三次元規則的構造(3DOM)を導入した。各触媒の結晶性、結晶子径、比表面積には大きな差がないにもかかわらず、マクロ孔に取り込まれた炭素ナノ粒子燃焼温度はマクロ孔径の小さい触媒のほうが低温で燃焼が起こることを見出した。これは、触媒に空間を導入することにより、触媒の一次粒子の凝集が抑制されるためと三次元規則的構造であるために触媒と炭素ナノ粒子との接触率が大きく向上し、燃焼温度が低温化したためと考えられる。この成果は固体触媒と固体反応物がかかわる新しい反応概念を提供している。 様々な形状(サイズの異なる直線状、コイル状)のカーボンナノファイバー(CNF)を有機構造体アシストとして形態構造と構成元素を制御した複合酸化物ナノチューブ、ナノワイヤー合成に成功した。さらにCNFをマイクロ構造体上に成長させ、これらを有機構造体にすることでマイクロ構造体上にLaMnO_3ナノワイヤー材料がネットワーク的に固定化した全く新しいナノ・マイクロ構造体触媒を調製することにも成功した。このような固定化したLaMnO_3ナノ材料は高い比表面積を有しており、調製したナノ・マイクロ構造体触媒は既存のLaMnO_3触媒より高い酸化触媒活性を示した。この方法は他のペロブスカイト酸化物やヒドロキシアパタイト材料にも適用できることを実証した。
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