研究概要 |
昨年度の研究において,銀イオン交換ゼオライトによってCH_4が活性化できることを明らかにした。言い換えると,ゼオライトの細孔内に生成した銀イオンクラスターによって,メタンのC-H結合が不均等解離を起こし,CH_3+と銀-ヒドリド種を生成する。生成したCH_3+はエチレンと反応してプロピレンを生成する。このとき銀-ヒドリド種は反応中に生成した酸性プロトンと反応し,水素を生成すると同時に銀イオンクラスターが再生することによってメタンとエチレンからのプロピレン生成反応が触媒的進行する。 銀イオンでなくともメタンと反応して金属-ヒドリドを形成する金属イオンであれば,メチルカルベニウムイオンが生成するはずである。更に,金属-ヒドリドが酸性プロトン反応すれば,触媒的にメタンの活性化が起こると予想される。そこで種々の金属イオン交換ZSM-5ゼオライトを用いてCH_4転化反応を行った。メタンとエチレンの分圧はそれぞれ33.8kPaである。メタン転化率、生成物分布が用いた金属イオンの種類に大きく依存した。反応温度400℃におけるCH_4転化率の活性序列は以下のようになった。In(14.0%)>Ag(13.2%)>Mo(9.5%)>Fe(7.8%)>V(7.6%)>Ga(6.9%)>Pd(5.5%)>Pb(5.4%)>La(2.5%)>Zn(1.8%)このように銀イオン以外の金属イオンでもCH_4の活性化が起こることが明らかとなった。 更に,Inイオン等でイオン交換をしたZSM-5を触媒として^<13>CH_4の転化反応をエチレン共存下で行なうとプロピレンと水素が生成し,しかも^<13>Cをひとつだけを含むプロピレン(^<13>CC_2H_6)と水素が生成することからも明らかとなった。
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