研究概要 |
Ag-Y, Ag-A及び銀イオンで修飾したH-ZSM-5ゼオライトを触媒として, ^<13>CH_4の転化反応をエチレン共存下で行なうとプロピレンと水素が生成し,しかも^<13>Cをひとつだけを含むプロピレン(^<13>CC_2H_6)と水素が生成した。こうした実験結果はメタンとエチレンとの反応によってプロピレンと水素が生成していることを示している。 エチレン共存下でのメタンの炭化水素への転化反応は,銀イオン以外の金属イオンで修飾したH-ZSM-5ゼオライトでも進行する。即ち, ^<13>CH_4の転化反応をエチレン共存下で行なうと, ^<13>CC_2H_6と水素が生成した。また,メタンとして^<13>CH_4を用いるとベンゼンとも反応してトルエンを生成した。 以上の実験結果を基に,金属イオンと酸性プロトンの二元機能によるメタンの活性化機構を提案した。銀イオンをはじめとする金属イオンと酸性プロトンとの二元機能触媒によって, CH_4からCH_3^+を発生させる手法は,新規なカルベニウムイオンの生成法である。メタンはアルケンや芳香族化合物の炭素ユニットを,一つ以上大きくするメチル化剤として使用することができる。さらに金属イオンの種類を代えることや酸性プロトンの性質や細孔径を制御することによって,生成する炭化水素の選択性を制御できる可能性を秘めている。プロピレンを選択的に合成するには,細孔径が小さく,酸強度が弱いプロトンとAg^+などの金属イオンが共存するゼオライトが適している。また,金属イオンと酸性プロトンとの二元機能触媒によってメタン以外のアルカンからアルキルカルベニウムイオンを生成する可能性もある。即ち,この研究によってメタンをはじめとするアルカンの新しい活性化法を提案できる可能性がある。
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