先ず酸化ニオブ、酸化タンタルおよび酸化ニオブ-タンタルからなるメソポーラス物質の調製とその触媒特性の評価を行った。触媒特性はシリカ中で単核化したチタンが活性を発揮する、過酸化水素を用いたオレフィン(シクロヘキセン)のエポキシ化反応(アセトニトリル溶媒中、60℃、3時間)にて評価した。さらに上記3種類のメソポーラス酸化物について金属イオンに対して3mol%のチタンを均一に導入し、チタンが単核で存在するようなメソポーラス酸化物も調製し、触媒特性を評価した。 ブランクとして行なったチタンをドープしていないメソポーラス酸化物においては、いずれのメソポーラス物資も10-20%のシクロヘキセンの転化率および約40%のエポキシ度の選択率を示し、各種金属酸化物メソポーラス物質そのものが活性な触媒として働くことを見出した。中でもメソポーラス酸化タンタルの活性が最も高かったので、メソポーラス構造を有していないアモルファス酸化タンタルとその物性および触媒活性について比較した。特徴のある細孔構造のため、メソポーラス酸化タンタルはアモルファス酸化タンタルの約3倍の表面積を有していた。一方で反応の活性をシクロヘキセンの転化率で判断すると、メソポーラス酸化タンタルはアモルファス酸化タンタルの約20倍の活性を示した。このことは、アモルファス構造の酸化タンタルの表面に存在する活性点の数が単純に増加したことに加えて、さらにメソ細孔空間が反応基質に対して好ましい物になっていることを示している。すなわち、メソポーラス酸化タンタルの持つ疎水性の空間にシクロヘキセン分子が効果的に取り込まれていることに由来するものと考えられる。 さらにチタンをドープした系についても検討を行ったが、チタンの導入によって活性は低下した。しかし、これらは結晶化した際に効果的に働く可能性が高いので、平成19年度において取り組む予定である。
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