本研究では新規金属含有籠状シルセスキオキサンを活用した、回収再利用が容易で環境負荷の少ない有機合成プロセスを可能にする不均一系触媒の開発に取り組み、本年度は以下に示した結果を得た。 1. スターバースト型シルセスキオキサンにチタンおよびシリルヒドリド基を導入した後、シロキサンコポリマーと相互に連結して、過酸化水素水を酸化剤とするエポキシ化反応に一定の活性を示す高分子触媒を調製した。 2. シルセスキオキサンアミン配位子を活用して均一に制御されたミクロ細孔構造を有し、Ru種を内包する多孔質酸化物を調製した。さらに、シリカあるいはチタニア担体と組み合わせて焼成する事によって、ミクロ細孔とメソ細孔を併せ持つ特異的な細孔構造を有し、1-オクテンのヒドロホルミル化反応に活性を有する多孔質酸化物触媒を調製した。 3. さらに、種々のTi含有シルセスキオキサンを他の酸化物と複合化することによる不均一系触媒の開発を行った。例えば、Ti架橋型シルセスキオキサンを種々の酸化物担体に含浸担持後に823Kで焼成して得た酸化物触媒が、tBuOOHを酸化剤とするシクロオクテンのエポキシ化反応に対して優れた活性および選択性を示すことを見出した。さらに、アルコキシシリル基を導入したTi架橋型シルセスキオキサンを調製し、これらを多様な酸化物と複合化することによって調製した不均一系触媒が、アルケンのエポキシ化反応に対して優れた有効性を有することを見出した。
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