研究課題/領域番号 |
18360389
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金田 清臣 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (90029554)
|
研究分担者 |
海老谷 幸喜 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (50242269)
水垣 共雄 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (50314406)
森 浩亮 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (90423087)
|
キーワード | グリーンケミストリー / 炭素-炭素結合形成反応 / 固体酸触媒 / モンモリロナイト / 1,4共役付加反応 / 固体塩基触媒 / ハイドロタルサイト / ハイドロキシアパタイト |
研究概要 |
本申請研究では、これまでの研究で得られた我々が独自に見出した触媒を基に、グリーン・サステイナブルケミストリーを指向した自然共生型物質変換プロセスの構築を目的とし、多機能集積触媒(インテグレート触媒)の開発を行った。以下に主な成果を述べる。本年度は、炭素-炭素結合形成反応を主なターゲットとした。具体的には、(1)カチオン性層状粘土鉱物モンモリロナイト(mont)を触媒材料として、固体超強酸触媒の開発を行った。(2)ハイドロタルサイト(HT)の表面アニオン種による塩基性を用い、HT表面の金属カチオン種に由来する活性点を創成し、炭素-炭素結合形成反応を温和な条件で進行させた。 1.モンモリロナイト(mont)の層間カチオンをプロトンまたは、Al^<3+>などの金属イオンと交換することにより、極めて効率的な1,3-ジカルボニル化合物のオレフィンやアルコールへの付加反応を開発した。本反応系は、一般的に用いられてきた硫酸などの液体ブレンステッド酸では実現できない、選択的な付加反応が可能となる。また、アニリンなどの塩基性の弱い求核試薬を用いたオレフィンへの炭素-窒素結合形成も可能となる。モンモリロナイトの層間酸点が二つの基質の活性化するデュアル活性化機構が提案された。また、本触媒は、個体酸としてカルボン酸を用いたフリーデルクラフツアシル化反応に高活性な触媒となる。 2.ハイドロタルサイト(HT)の表面にRh種を固定化したRh/HTは、塩基性表面とRh種の協奏機能により、有機ホウ素試薬のα,β-不飽和カルボニル化合物への1,4-共役付加を進行させる。HT表面では、Rh種と表面塩基点が協奏的に作用し、高い触媒活性を示したと考えられる。 本研究で開発した触媒は、分離・回収が容易で再使用が可能であるだけでなく、均一触媒系に比較し、優れた化学選択性を示す特徴があり、目的物質をシンプルに作る新しい合成ストラテジーを提供し、自然共生型のモノづくりを可能とすると考えている。
|