研究概要 |
今年度はPt-SiO_2ナノチューブを重点的に取り扱い,前駆体であるPt(NH_3)_4(HCO)_2の再結晶の際に出来るだけ形状の揃ったナノ針状結晶を数100nmから数1000nmまで区別して調製できるように条件の検討を行った。また、加水分解で形成されるシリカ膜の厚さをコントロールするために、テトラエトキシシラン(TEOS)やアンモニアの添加量,加水分解温度や時間依存性を検討した.シリカ以外の水素選択透過膜や酸素選択透過膜を合成するため、TiO_2、V_2O_5、ZrO_2酸化物膜調製に成功した。 設備備品費で購入したFT-IR赤外分光光度計を用い,COやオレフィン・アルコールなどの吸着状態を観測し,調製したナノチューブやナノカプセル中の金属の状態を調べた。また、設備備品費で購入した,四重極質量分析計を現有の超高真空排気計と組み合わせて,昇温脱離装置を組み上げ,水素・COなどの吸着特性を調べ、酸化物壁中にはプラスに帯電したsub-nmの金属クラスターが存在し特異な触媒活性・選択性を発現していることが明らかとなった。 これらの8-10族金属を内包した水素選択透過性をもつ酸化物カプセルを担体として用い、その外表面に内部とは異なるRhやRu金属を分散担持させることにより、新たに水素濃度の非常に高い「水素カプセル」を調製した。カプセル内部で解離した水素原子を外表面の異種金属までスピルオーバーさせるために、酸化物膜内部にも水素のホッピングサイトとなる金属クラスターの濃度勾配をつけて存在させる調製条件を探った。調製に成功した水素選択透過性を持つ8-10族金属を内包したナノカプセルを用い、オレフィンの水素化やCOの水素化、N_2の水素化における水素との吸着サイトの分離とオレフィンやCO、N_2による吸着阻害のない水素化反応場構築の可能性を検討した。
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