研究課題/領域番号 |
18360395
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 浩 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (00226250)
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研究分担者 |
古澤 力 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (00372631)
永久 圭介 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助手 (00324806)
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キーワード | インシリコ代謝変動予測 / 代謝フラックス解析 / 同位体標識トレース実験 / ゲノムスケールモデル / 微生物生産 |
研究概要 |
本研究においては、有用化学物質の微生物生産を目的として、ゲノムスケールの代謝反応情報を化学量論式によりモデル化し、微生物の代謝をインシリコデザインすることを目的としている。出芽酵母のゲノム情報を基盤として遺伝子発現量の変化が標的生産物質の生産フラックスに与える影響についてコンピュータで予測できる手法を開発する。微生物が自己を維持したり、人為的な遺伝子発現変動に適応する特性を定式化し有効な代謝改変をゲノムスケールで予測するシステムを開発する。 本年度は、ゲノムスケールで代謝情報を化学量論式の形で集積し、代謝反応モデルを開発するための基礎的検討を行った。このモデル開発では、パラメータ推定が困難な動力学的情報を一切含まず、モデル化の労力を最小限にすることを念頭に行った。解糖経路、TCAサイクル、アミノ酸の合成経路など中枢代謝経路周辺を中心とした化学物質を標的化合物に設定し、遺伝子改変の代謝ネットワークに与える変動の効果を予測するためのモデル構築の検討を行った。大腸菌を例にして、一遺伝子破壊の条件を与え、遺伝子破壊による代謝フラックス変化を予測する方法を開発した。次年度は、この方法を酵母へ応用展開する予定である。 一方、代謝変動が実際に有効に起こるかどうかを実験的に検証するための手法開発も行っている。ここでは、高精度中枢代謝経路評価システムの開発に分けて研究を進める。微生物に^<13>C同位体標識化合物を細胞内に取り込ませる実験を行うとともに、中枢代謝経路の変換過程で、代謝物質の炭素原子が変換前後でどの炭素に移動するかということを考慮した精密な原子マッピングモデルと構築した。代謝反応において取り込まれた標識炭素が、どのように変換されていくかを解析するモデルを開発中である。
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