研究概要 |
高性能マイクロバイオリアクターの設計:チューブ内に形成させたメチル基含有シリカモノリスの内部表面にリパーゼ固定化ブチル基含有シリカを塗布することによって調製されるリパーゼ固定化モノリスバイオリアクターの反応効率の更なる改善を図った。その結果、塗布するブチル基含有シリカ量はモノリス質量の14%、そこに固定化するリパーゼ量は塗布シリカとリパーゼの全質量基準で80%のときが最適であり、最大の反応率を与えることがわかった。また、基質溶液の偏流防止のためには、リアクターの管長/管径比が可能な限り大きい方が良いことがわかった。また、シリカモノリスに酵素固定化後、超臨界二酸化炭素中でモノリスをより疎水性のゲルで被覆修飾しても、未修飾より格段に高い反応率が得られることが明らかになった。 シリカモノリス光学分割カラムの創製:市販カラムにおける標準的な分析条件下の酪酸グリシジルのS体とR体の溶出時間を目標値として、両者の分離性能に及ぼす担体の前処理、キラル固定相amylose tris(3,5-dimethylphenylcarbamate)(ポリマーと略称)の濃度と溶剤、ならびに操作条件の効果を検討した。 パルスリアクターと反応・分離直列型システムの性能試験:シリカモノリスマイクロバイオリアクターのパルス応答実験を行い、プラグフローからの偏奇の程度を測定した。グリシドールと酪酸ビニルのパルス供給を伴うバイオリアクターと市販光学分割カラムの直列結合システムについて、酵素量および流量などの操作条件の検討を行った。その結果、R体とS体のエステル生成物について、5分以上の溶出時間差を与えることができ、両者の完全分取の可能性が示唆された。 反応・分離統合型システムの構築:リパーゼ活性の維持と各エステルエナンチオマーの分離が両立する酵素とポリマーの固定化手順について検討を試みたが分離は不十分であった。
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