研究概要 |
有名な噴霧燃焼シミュレータソフトに米国で開発されたKIVAがある. 世界中で利用されているが,詳しく調べると, このソフトは流れ場の計算において威力を発揮するとしても,噴霧燃焼に特徴的な要素過程を正しくとらえていないことがわかる. そのため, 学術的な研究や新規燃焼器の設計および問題解決に直接役立つことは少ない. 特に,保炎に関連する火炎伝播と, 噴霧燃焼の前提になる微粒化特性については,自ら正確に予測する能力を備えておらず, このことがシミュレータの威力を大幅に損ねている. 噴射条件より生成噴霧の性状が予測でき ,且つ,噴霧の性状に応じた着火および火炎伝播が正しく模擬できないと, 噴霧での保炎現象が正しく記述できず, 研究や設計に有力なシミュレータにはなり得ない. 本研究では, 宇宙環境利用研究プロジェクトの一環として微小重力実験で解明してきた液滴間火炎伝播と乱流微粒化機構の知見を応用し, 従来の噴霧燃焼シミュレータの問題点を克服し,独創的な構想に基づき本格的な噴霧燃焼数値シミュレータの構築を目指す研究をおこなう.
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