研究概要 |
今年度は,(1)三次元織物CMCにおける熱衝撃(あるいは高温暴露)後のFOD挙動の解明,(2)二次元織物CMC,多孔質セラミックスおよび無気孔セラミックスにおける損傷挙動との比較,を課題として実験及び解析を行い,最終年度として三次元織物CMCの損傷挙動を総合的かつ系統的にまとめた。以上の研究の結果,以下の知見が得られた。1.三次元織物CMCにおいて,衝撃エネルギーが低い場合,表面におけるFODはクレーターと繊維束破断からなり,内部には四角錐形状の多重クラックが生じた。一方,衝撃エネルギーが臨界値より高い場合,裏面からスポール破壊を生じ,スポール破片は四角錐形状であった。2,衝突表面側のクレーター体積は衝撃エネルギーとともに増加したが,熱衝撃あるいは高温暴露後の試験片のほうが,クレーター体積は大きかった。3.三次元織物CMCにおいて,高温暴露および熱衝撃による微視的損傷は見られないが,その後の飛翔体に対する耐衝撃性および静的強度は低下した。高温暴露によるSiC繊維あるいはマトリックスの酸化は生じないことがX線解析により確認されたが,繊維をコーティングする炭素が酸化することにより,界面強度が増大し,その結果,逆にCMCとしての強度が低下し,脆性破壊しやすくなることが,静的負荷試験により判明した。4.二次元平織CMCにおいて,三次元織物CMCと同様にある臨界衝撃エネルギー以上でスポールが発生した。ただしスポール破片はばらばらの粉砕片となり,三次元織物CMCと異なった。5.多孔質セラミックスにおける空孔を考慮した破壊モデルを構築し,FEM結果と比較検証した。6.損傷許容性のある無気孔セラミックスの熱衝撃破壊特性を明らかにした。7.CMCの破壊挙動に及ぼす繊維とマトリックス界面特性が果たす効果を明らかにした。
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