研究概要 |
1 昨年度とは異なる炭素繊維プリプレグを用い、4種類の擬似等方性炭素繊維強化積層板CFRPの機械ピン継手について静的負荷試験及び疲労負荷試験を行い、概ね、H18年度に得た実験結果と同じ損傷傾向が求められた。 (1)静的負荷の場合、せん断マトリックス亀裂に導く限界損傷はキンクであり、最終破壊がおきる条件は全内部0度層にキンクが現れることである。 (2)疲労負荷の場合、静的最大強度の80%程度の通常疲労荷重では、せん断マトリックス亀裂に導く限界損傷はピン負荷端での崩壊フロントに形成されるキンク状損傷であり、90%程度の高疲労荷重では、むしろキンクが多い。 (3)静的負荷と疲労負荷の両方で表面90度層を持つ積層構成のCFRPがやや高強度をしめ (4)剥離長さは疲労負荷の方が大きい。 この結果、昨年度の結果は多くのCFRP積層板機械ピン継手について成立する傾向であることが明らかになった。 2 最終疲労破壊がおきる条件として、通常疲労荷重の場合、以下の結果が得られた。 (1)疲労の荷重最大値における非弾性変位U_<NE>* (初期不整を除くため10サイクルでの値をゼロとする)は損傷伸展の良い指標と考えられる。この値の安定伸展が終わる時が最終疲労破壊の開始になり、概ね今回の材料ではU_<NE,F>*=50 to 65μmである。 (2)U_<NE,F>*での最終破壊がおきる条件(ミクロ損傷の状況)は、全内部0度層に、多くは(コラプス・フロント)キンク様損傷、時にはキンクが現れることである。
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