研究課題
太陽系探査(特に、外惑星やそれ以遠の太陽系外縁部探査)を低コストかつ短期間で実現するためには、持続力があり効率的な宇宙機推進技術が必要である。そのひとつとして注目されているのが、磁気プラズマセイル(Magnetoplasma Sail,MPS)である。本研究では、宇宙での磁気プラズマセイル動作を模擬した実験(スケールモデル実験)を実施して、磁気プラズマセイルの物理過程を解明することを目的としている。平成20年度は、太陽風プラズマ流を模擬する太陽風シミュレータ、磁気セイルを模擬するコイル、そして、コイル近傍からプラズマを噴射してコイル磁場を広範囲に広げるための磁場拡大用プラズマ源、の3つから構成される「MPS地上実験シミュレータ」によるスケールモデル実験を前年度に引き続き実施して、次の2つの成果が得られた。1)磁気セイル(宇宙機からのプラズマ噴射を伴わないもの)の磁場分布を計測し、磁気セイル磁気圏の3次元構造を明らかにした。このスケールモデル実験は、宇宙における流体スケール磁気セイルの相似則が満たされるよう実施されており、磁気圏の太陽側サイズ(離脱距離)は、太陽風の動圧と磁気圧の平衡する点とコイル中心との距離に一致した。2)コイルからプラズマ噴射を伴う磁気プラズマセイルの実験においても、3次元磁場分布と電流分布を計測し、磁気セイル(プラズマ噴射を伴わないもの)の磁気圏がプラズマ噴射によって拡大される様子を詳細に捉えることに成功した。磁気プラズマセイル磁気圏では、磁気圏を拡大する電流と共に、磁気圏を縮小させる電流(反磁性電流)も流れており、更なる磁気圏拡大のためには最適化の余地がある事が分かった。これら実験と並行して、電磁流体(Hall-MHD)モデル/粒子モデルによる数値解析ツールの開発も実施し、磁気圏拡大過程においてHall効果が重要であることが明らかになった。
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AIP Conference Proceedings 1084
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