研究分担者 |
鈴木 俊之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 総合技術研究本部計算科学研究グループ, 研究員 (20392839)
松山 新吾 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 総合技術研究本部計算科学研究グループ, 研究員 (60392841)
松川 豊 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 総合技術研究本部空気力学研究グループ, 研究員 (10392846)
酒井 武治 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (90323047)
口石 茂 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 総合技術研究本部風洞技術開発センター, 研究員 (60358596)
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研究概要 |
衝撃波背後の熱的・化学的非平衡現象の研究を行なうための実験手法として,超高速衝撃波の発生が可能な自由ピストン2段隔膜衝撃波管を新規に開発した.ここでは,特に気流への不純物の浸出を妨げるためシール性や流路材質に工夫をこなした設計を行い,また光学計測に必要な放射・吸収が十分に得られるように70mmとこのクラスでは大きな光路長を実現した.設計を前半期で行い,後半期で製造を完了し,年度末より組立て,調整と性能マップ作成作業に取り掛かっている.実際の計測はH19年度より開始する予定である. 衝撃波管に光学計測を応用する準備段階として,アーク風洞およびICPプラズマ風洞を用いた気流計測をおこない,計測システムの開発やノウハウの蓄積を行った.ここでは既存のイメージング分光器と光学系を用いて可視波長域での時間凍結イメージング分光法を開発し,気流の分子内部モードの温度,および化学種の密度計測手法を確立した.また真空紫外分光システムの開発に着手し,真空紫外分光器に取り付ける光学系や高真空排気装置,MgF2窓などの準備を行なった.今後衝撃波管の運用に伴い,上記手法を逐次衝撃波管試験に応用してゆく予定である. 解析においては,量子論的解析および状態遷移理論による微視的モデルの開発の基礎的手法を確立した.本年度はまず,最子論的解析コード(GAUSSIAN96,GAMESSなど)を用いたab initio電子軌道解析により分子間衝突ポテンシャル面を決定し,解析近似する手法について検討を行い,N2-N2系衝突のポテンシャルについて量子解析によりモデル化を行なった.また上記ポテンシャル面を用いて分子間衝突の準古典的軌道解析,統計処理により状態遷移速度係数,解離係数を決定する手法について,従来開発したコードを改善してN2-N2衝突解析を行い,状態遷移速度係数,解離係数を計算した.これを解析的に近似して数値解析に供する形に整備し,さらに巨視的モデルとして緩和時間,解離速度係数を算出し,既存の実験値と比較した.今後,新たに得られたN2-N2系衝突のポテンシャルを用いた高精度化を試みるつもりである. 最後に,熱防御材の熱応答熱応答モデルの高度化,多次元化,および流れ場との連成解析手法の高度化を計り,実験で得られる巨視的観測量との比較,検証を行うことでモデルの高精度化を図った.特に熱防御システムとしてアブレータに注目し,その解析コードの高度化の試みとして多次元化,実験による触媒性,窒化レートの決定と改善されたモデルの導入を行い,従来より高精度で試験結果を評価できるようになった.
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