研究課題/領域番号 |
18360414
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
芳村 康男 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授 (50322847)
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研究分担者 |
前川 和義 大学院水産科学研究院, 助手 (80250504)
日野 孝則 海上技術安全研究所, CFD研究開発センター, 研究員 (60373429)
上野 道雄 海上技術安全研究所, 流体部門運動性能研究グループ, 研究員 (60358405)
宮崎 英樹 海上技術安全研究所, CFD研究開発センター, 研究員 (10415797)
原口 富博 海上技術安全研究所, 流体部門運動性能研究グループ, 研究員 (60360715)
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キーワード | 船舶操縦運動 / 船体流体力 / 拘束模型試験 / CFD / シミュレーション |
研究概要 |
本研究では、操縦運動中の複雑な流体力を実験的に明らかにする一方、ナビエ・ストークス方程式の数値解法を行う数値流体力学(Computational Fluid Dynamics: CFD)を操縦運動中に適用することを試み、非定常流体力を含む操縦運動流体力の複雑な流体力推定を可能にし、船舶操縦運動の新しい推定法を構築する。 本年度は、以下の成果を達成した。 (1)定常拘束模型試験:船尾フレームライン形状が異なる2種類のタンカー模型船を製作し、操縦流体力の基本である船体のみの定常流体力を斜航試験とCMT(拘束旋回試験)によって計測し、操縦運動中の定常流体力の解析を行った。 (2)非定常拘束模型試験:上記の2種類のタンカー模型船の船体の非定常流体力をPMM(水平強制動揺試験)によって計測した。またこれら(1)と(2)のデータはITTC(国際試験水槽会議)が主催するシンポジウムSIMMANの公式バリデーションデータとして我が国から提出を行った。 (3)操縦流体力のCFDコードの開発研究 非定常状態の数値計算においては計算時間の短縮は重要な間題である。そのため、計算効率のよい、構造格子を用いたCFDコードを採用することが望ましい。その場合に間題となるのが複雑形状の格子生成法であり、本研究において最も複雑な、舵角が20度での格子の生成法の開発を行った。大舵角へ適用するために格子形状が最も厳しくなる舵の前・後緑や、上・下端付近での格子生成を工夫することで、舵角24度までの格子生成が可能な手法を開発した。 (4)次に本コードの操縦運動への有効性を確認するため、「(1)定常拘束模型試験」で得られた操縦流体力との比較を行った。操縦運動を推定する上で重要となる横力・舵直圧力については良好な結果を得ること出来たが、回頭モーメントについては若干の誤差が生じている。実験では船首付近での造波現象が顕著であったが、計算では自由表面の操縦運動に及ぼす影響は少ないと仮定して、二重模型流れモデルを適用していることが理由と考えられる。そのため、自由表面影響を考慮したCFDコードへの拡張を検討している。最後に、非定常状態への拡張する際に問題となる物体移動と乱流モデルについて検討を行った。その結果、物体移動については他の分野でも実績のある移動格子法を、乱流モデルについては非定常計算のアルゴリズムに調和し易いSpalart-AUmaras法を適用することとした。それぞれについて数値計算が可能な離散化式へ変換して、引き続きプログラミングを行う。
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