研究課題/領域番号 |
18360415
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梅田 直哉 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20314370)
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研究分担者 |
橋本 博公 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (30397731)
松田 秋彦 独立行政法人水産総合研究センター, 水産工学研究所, 室長 (10344334)
石田 茂資 独立行政法人海上技術安全研究所, 流体部門, 上席研究員 (30360712)
池田 良穂 大阪府立大学, 大学院工学研究科, 教授 (10117989)
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キーワード | 転覆確率 / ブローチング / パラメトリック横揺れ / デッドシップ / 有効波傾斜係数 / 漂流運動 / アンチローリングタンク / 非エルゴート性 |
研究概要 |
国際海事機関IMOで復原性基準の機能要件化の対象として取り組むべきとされる3つの現象、パラメトリック横揺れ、ブローチング、デッドシップ状態での転覆について、主に不規則波中の発生確率に着目して研究を行った。 まず、パラメトリック横揺れについては、造波影響を考慮した数値シミュレーション・モデルを、不規則波中に拡張し、ポストパナママックス・コンテナ船および自動車運搬船(PCC)の模型実験と比較した。その結果、規則波中のパラメトリック横揺れの振幅は概略推定できるものの、不規則波中のコンテナ船については過大推定、不規則波中のPCCについては一部で過小評価となった。この原因を探るため、復原力係数を直接計測する拘束模型実験を行い、ここでのシミュレーション・モデルが不規則波中の復原力係数はかなり精度良く推定できることを確かめた。その一方、パラメトリック横揺れの非エルゴート性が著しいことも示され、このため不規則波中での実験と計算の比較に本質的困難があることを明らかにした。また、北太平洋を航行するコンテナ船のパラメトリック横揺れによるコンテナ損傷のリスクを計算し、またそのリスクを軽減する手段としてのアンチローリングタンクの効果をライフサイクルで定量化した。 次に、ブローチングについては、数値シミュレーション・モデルを不規則波中に拡張し、既存の遊漁船での実船実験結果と概略一致することを示した。さらにそのモデルを用いて数値実験的にブローチング発生確率を推定した。また規則波中のシミュレーション結果と狭帯域仮定の個別波の統計理論からブローチング発生確率を求める方法を提案し、その計算値が先の数値実験値とほぼ一致することを示した。 最後に、デッドシップ状態の転覆については、規則波中での漂流姿勢とその安定性を検討し、その状態下での転覆確率を計算した。また、海水流入や荷崩れを考慮できるように計算法を拡張した。そして、有効波傾斜係数の推定法を検討し、簡易推定法を提案した。そのうえで、代表的な商船の転覆リスクを試算した。
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