研究課題/領域番号 |
18360423
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
大塚 耕司 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90213769)
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研究分担者 |
馬場 信弘 大阪市立大学, 工学研究科, 教授 (10198947)
中谷 直樹 大阪市立大学, 工学研究科, 助教 (30326277)
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キーワード | 生態系修復・整備 / 環境調和型農林水産 / 海洋資源 / 海洋保全 / 環境技術 |
研究概要 |
本年度は、ムラサキウニ摂餌実験、藻食魚類行動パターン実験、クロメ生長実験および光合成実験、小規模閉鎖水域における深層水放流実験を行い、以下の結果を得た. ・ムラサキウニ摂餌実験の結果、クロメ、マクサともに水温が高いほど摂餌率が高くなり、水温に対する摂餌量の増加傾向は、冬場に傾きが大きく、夏場には傾きが小さくなることがわかった.この結果は以前行われたカジメに対する摂餌結果と同じ傾向であることから、カジメのモデルのパラメタを変えてクロメ・マクサのモデルを表現できるのではないかと考えられる. ・藻食魚類行動パターン実験の結果、水温の低下に対して対象魚はその変化を嫌がるように水温の高い方向へと移動していくこと、水槽内の水温が全体的に低下してくると摂餌行動が著しく低下すること、逆に水温が上昇するに従って摂餌を行うようになることなどがわかった.これらの結果は魚類の行動モデルに応用できると思われる. ・クロメ生長実験の結果、水温が16℃以下では海洋深層水の栄養塩添加効果は顕著には現れず、ある程度以上の栄養塩濃度が確保されている場合、クロメの生長に対しては水温の影響が強く現れ、海洋深層水の混合比率が高すぎるとむしろ水温低下によって生長速度が抑えられることがわかった. ・クロメ光合成実験の結果、プロダクトメーターを用いて光合成実験を行う場合、試験葉体としては側葉中央部が最も安定して結果が得られること、今回の実験の範囲(16.5〜19℃)では、クロメの光合成速度は水温に対して線形的に増加することがわかった. ・深層水放流実験の結果、低温高密度の水塊は、海底上10〜20cm程度の薄い層を這うように広がっていくこと、水温変化の進行割合は方向によってばらつきがあることなどがわかった.これらの結果は滞留構造物設置の条件化での深層水放流シミュレーションの検証データとして有用であると思われる.
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