研究課題
本年度は、昨年度に引き続き、粉末焼結タングステン材ついても研究を進めると共に、さらに、各種改良タングステン材に対しても実験を開始した。また、昨年度整備・作製した実験装置等を用い、ELM時の熱負荷模擬実験、水素/ヘリウム照射実験及び電子ビーム高熱負荷実験を行い、材料の損傷について基礎的な特徴を把握した。(1)粉末焼結タングステン、TiC分散タングステン合金(W-TiC合金)、F82H鋼表面に被覆したプラズマ溶射タングステンに対して、高熱負荷試験装置を用いてディスラプション、ELM時の熱負荷に相当するするパルス高熱負荷実験を行った。プラズマ溶射タングステン被覆F82Hでは、特に、大気中溶射試料では被覆タングステンの層間で剥離が発生するが、一方、真空溶射試料では熱の拡散が早く皮膜の性能が優れていることが明らかとなった。(2)プラズマ溶射タングステン被覆F82H(真空溶射試料)に対して、集束イオンビーム加工装置(FIB)を用いて界面部における薄膜試料を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い微視的な組織観察を行った。タングステン皮膜ではタングステン粒が柱状構造を形成しおり、界面部ではタングステンカーバイド等の反応層は観察されない。また、接合界面部のF82H鋼は微細な組織に変質しており、部分的にクロムカーバイドの析出物が存在していることが明らかとなった。(3)水素・ヘリウム混合ビーム照射材の表面損傷を調べると共に、反跳原子検出法により表面近傍における注入水素及びヘリウムの捕捉量を調べた。表面形状変化は、粉末焼結タングステン、TiC分散タングステン合金(W-TiC合金)等の種類により異なり、組織依存性があることが明らかとなった。また、水素捕捉量は、ヘリウム同時照射により大きく増加しており、ヘリウム照射による微視的な表面損傷が水素捕捉量に大きく影響しているものと考えられる。
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Journal of Nuclear Materials 367
ページ: 812-816
Journal of Nuclear Materials 363
ページ: 443-447