研究課題
本年度は、最終年度であることから、これまでの研究を進めると共に成果をまとめた。(1) パルス高熱負荷による材料損傷・損耗については、粉末焼結W材で圧延方向が試料表面に垂直な試料では、熱応力により深さ方向(圧延方向)に亀裂が発生し易く、亀裂のエッジでは、Wの破片等も形成され、ダスト形成及び損耗の原因となることが分かった。また、La_2O_3(0.96wt%)ドープW及び超微細結晶粒W合金(W-0.5wt%TiC-Ar)の損耗量が多い原因は、La_2O_3やArバブルの突沸により、溶融物が飛散されるためであることがわかった。この影響が少ないと考えられるK(0.003wt%)ドープW及び超微細結晶粒W合金(W-0.5wt%TiC-H_2)は損耗量も少ない。(2) 強制冷却下での高熱流束の熱及びビーム照射実験が可能である、冷却管の表面にWを被覆したダイバータモックアップを作製することができた。特に真空プラズマ溶射法によりWを被覆することにより、これまでの溶射法で作製したものと比較し高熱伝導率のW被覆ダイバータモックアップを作製することができた。これを元に、冷却水への熱伝達を含めた解析を行った。(3) 水素及びヘリウムビーム照射実験では、表面形状については、粉末焼結W材の場合は、アメーバ状の凹凸が形成されており、スパッタリングによる表面形状変化と共に損耗により内部の組織が表面に露出しているものと考えられる。この形状変化は、特に、ヘリウム単独照射の場合に顕著であった。一方、W-TiC合金の場合は、照射後の表面形状は、粉末焼結W材に見られるような凹凸が異なる部分は見られず、一様に変化している。これは、結晶粒の大きさが数100nm程度と小さいためであると考えられる。さらに、これらの光反射率等の光学的性質変化についても調べ、特に、照射により、吸収・反射に寄与するバンド構造が変化することが明らかとなった。
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Plasma and Fusion Research 5
ページ: 012-1, 012-4
Proceedings of ITC19, 2009 (in press)
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Physica Scripta T138
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