研究概要 |
平成20年度は、本課題で提案・検討中の壁新概念「移動表面式プラズマ対向機器」の定常的粒子制御能力に関して前年度より実施中の小型球状トカマク(CPD装置@九大)に於ける回転ドラム型リミターの実験を継続するとともにデータを解析し以てその原理検証をすることが目的である。CPD装置は、大半径30cm・小半径20cmで、典型的に50kWの電流駆動で中心密度10^<12>l/cc,電子温度〜7eV、パルス300ms(フラットトップ:250ms)、電流約300Aの放電が可能である。 このトカマクに回転ドラム型リミター(直径約15cm、軸方向長さ約12cm)を取り付け、放電中にドラムに連続的にリチウムを蒸着すると、以下のような顕著な変化が認められた: (1)コアプラズマ中心部の電子温度の増加:7eV→20eV; (2)上記電子温度の上昇に伴うトロイダル電流の増加(同一垂直磁場下):300A→〜lkA; (3)リミターとセンタースタックでの水素リサイクリング:H-α強度の減少(約3分の1); (4)コアプラズマ中の酸素不純物:0-I強度の減少(約3分の1)。 ただし、中心密度は、ほとんど変化しなかったので上記分光測定結果は、そのまま各原子濃度の減少と考えられる。また、電子温度の増加の増加とリサイクリングの減少にはっきりとした相関性が認められたことは、周辺リサイクリングの制御がコアプラズマの性能向上に寄与することを実証したと言える。これらの結果が、前年度、発表されたゼロ次元粒子バランスモデル改良版を用いて解析され、壁リサイクリングの能動的制御の重要性が指摘された。
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