研究課題/領域番号 |
18360450
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山崎 浩道 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00166654)
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研究分担者 |
松山 成男 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70219525)
菊池 洋平 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50359535)
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キーワード | ナノビーム / 荷電粒子励起X線分光法(PIXE) / ラザフォード後方散乱法(RBS)- / 透過イオン分光法(STIM) / 化学形態分析 / 黄砂 |
研究概要 |
本研究では、加速器からの陽子ビームを数十ナノメートルのスポットに絞り込んで試料表面を二次元走査するナノ陽子ビームラインを構築し、荷電粒子励起X線分光(PIXE)法をはじめとする種々のイオンビーム分析システムを組み合わせ、ナノ領域の空間分解能で測定することにより、環境中の核燃料物質や有害元素の化学形態を調べることの可能なシステムの構築することを目的とします。 本年度は昨年度に引き続き、高強度のナノビーム形成のために最も必要な加速器の電圧安定度の向上を図りました。高電圧印可時の各種情報を多次元に取り込み解析することにより、電圧変動の原因を突きとめ、改善を図った結果、ナノビームラインにおいても、ビーム量の変動は±20%以下となり、安定したナノビームの形成が可能となりました。 さらに、昨年度に開発したナノイオンビーム分析システムを環境試料分析へ応用しました。黄砂は自然現象ですが、中国の工業地帯の上空を通過する際に、人工的な汚染物質との混合により変性を起こすために、黄砂中に含まれる元素の情報だけでなく、その化学状態は、黄砂の環境への影響を評価上で非常に重要な意味を持ちます。エアロゾルは、今回開発した極薄膜上にインパクターを用いて収集し、ナノイオンビーム分析システムにより、Na以上の元素はPIXE法、He以上の軽元素はラザフォード後方散乱(RBS)法、水素の分析はoff-axis透過イオン分光(STIM)法により行いました。軽元素の分析においては、薄膜中の軽元素がバックグラウンドとなりますが、今回開発した薄膜を用いることによってその大輻な低減がなされ、黄砂中の軽元素のイオンビーム分析が初めて可能となりました。これにより黄砂の輸送中の変性の状況を捉えることが出来きました。
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