研究概要 |
本研究は、超音波流速分布計とワイヤー・メッシュ・トモグラフィを大口径管内の気泡流の多次元流動特性計測に適用して、解析コードの検証用データベースを確立するとともに二次流れ特性を解明し、チェムニの最適な分割に必要な知見を提供するとともに、低減速自然循環沸騰水型炉の成立性に大きな影響を与える起動時の炉心内不安定流動特性、特に、不安定流動、チェムニ内の二次流れ、並びに、狭隘流路における熱流動特性を解明することを目的として,以下の知見を得た. (1)テスト部において加熱部の下流側の非加熱ライザー長を前年度に引き続き0m、0.25m、0.5m、0.75mと変更し、入口サブクール度は10Kと固定し、系圧力を大気圧から0.7MPaまでパラメトリックに変化させ、ガイセリングの発生領域を投入熱流束に対して求め、ガイセリングの発生領域に与える系圧力と非加熱ライザー長の影響を定量的に解明した。 (2)前年度に引き続き超音波パルス・トモグラフィ法(UVT)を開発するとともに、超音波パルスの発射から反射波の受信までの経過時間を10,000回以上計測して、そのデータを統計処理することにより、流れを気泡流、スラグ流、チャーン流、環状噴霧流の流動様式を判別する計測技術を確立した。 (3)前年度に引き続き、気泡流の多次元的流動特性と液相内の乱流構造に及ぼす気泡径の影響を解明する実験を継続するとともに、気泡流の乱流についてモデルを構築した。 (4)大口径二相流循環装置を用いた低減速自然循環沸騰水型炉のチェムニ部を模擬した実験を本格的に実施し、大口径流路内での気泡の挙動並びに二次流れ特性を解明する研究を実施した。計測に当たっては、UVP、WMTと現有の画像処理計測システムを用いるが、(2)におけるUVTの開発状況によっては、本年度からUVTも1年間前倒しでテスト部に取り付けて実験を行った。 (5)二流体モデルとドリフト・フラックス・モデルに基づく過渡二相流数値解析コードを脈動流に適用して、不適切性と数値粘性の関係を解明する研究を継続するとともに、ガイセリングの発生限界に及ぼす系圧力を調べる研究結果に適用して、ガイセリングの発生機構と発生抑止策を解明した。 (6)粒子-流体モデルに基づく気泡流の多次元流動解析コードを垂直円管流路内の気泡流の発達特性に関する実験結果に適用できるように改良し、シミュレーションして気泡流の発達特性を支配する物理現象を解明した。
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