研究課題
P型六方品炭化ケイ素(6H-SiC)エピタキシャル基板上にリンイオンの高温(800℃)注入及び1650℃熱処理(Ar中、5分間)を行いn^+型領域を形成することでn^+p接合ダイオードを作製した。作製したダイオードに6〜18MeVのエネルギーの酸素(o)、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)、金(Au)イオンを入射し、単一イオン入射によるイオンビーム誘起過渡電流(TIBIC)測定を行った。得られたTIBICシグナルを時間積分することで電荷収集効率(CCE)を調べたところ、O,Siの場合は100%近いCCEが観測され、作製した6H-SiC n^+pダイオードが粒子検出器として有望であることが見出された。一方、Ni,Auとイオンが重くなるに従いCCEが80%、50%と低下していくことが観測された。Kobetch及びKatzにより提唱された理論(KK理論)に基づきイオン入射によりSiC中で発生する電荷(電子-正孔対)の濃度及び分布を見積もったところ、イオントラックの中心付近での電荷濃度は、Auの場合0に比べ100倍程度高濃度である10^<25>/cm^3オーダーとなることが見出された。このような高濃度電子-正孔対プラズマ中では空乏層内の電界が弱められるとともに再結合確率が増加することが考えられるので、NiやAuイオン入射で観測されたCCEの低下は重イオン入射により発生した高濃度電子-正孔対のプラズマ内再結合が原因であることが示唆される。Lまた、数百MeV級のイオン入射によるTIBIC測定を可能とするため、コリメート及び収束型マイクロビームを用いた半導体素子の評価装置を整備し、シリコン(Si)pinダイオードを用いた動作確認及びTIBICシグナルの取得に成功した。
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