研究課題/領域番号 |
18360461
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 隆 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20314049)
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研究分担者 |
高井 吉明 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (50109287)
一野 裕亮 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (90377812)
高木 淳 愛知工業大学, 工学部, 助教授 (00308793)
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キーワード | 熱電変換 / 酸化物材料 / 薄膜 / 微細組織 / ナノ技術 |
研究概要 |
熱電変換材料の性能はゼーベック係数(S)、電気抵抗率(ρ)、キャリア熱伝導率(κc)、フォノン熱伝導率(κp)の関数である性能指数Z=S^2/ρ(κc+κp)で表され、Zが大きいほど変換効率は大きくなる。本研究では、酸化物系熱電材料としてSm_<1.98>Ce_<0.02>CuO_4(SCCO)、金属系熱電材料としてBi_2Te_3を用いて、微細構造制御による熱電性能向上を検討した。 (1)SCCOの微細構造制御によって、κpを減少させ、Zを向上させることを目的とし、微細なBaZrO_3(BZO)材料を添加したc軸配向したSCCO薄膜を作製し、熱電特性に与える影響の検討を行った。BZO添加量1wt.%において出力因子(=S^2/ρ)は約0.89倍に減少したものの、κは約0.34倍に減少し結果としてZ(=S^2/ρκ)は約2.6倍に向上した。 (2)また金属系熱電変換薄膜においては、薄膜化技術を用いてエピタキシャル成長させたc軸配向Bi_2Te_3薄膜中に微小な粒状異物質を導入することによる熱電特性への影響について検討した。Bi_2Te_3薄膜の熱伝導率低減による熱電特性向上を目的とし、Bi_2Te_3薄膜内部に粒状のCeO_2及びZnOを導入した。その結果、熱伝導率は添加量の増加に伴って、低減していく傾向を示すことがわかった。CeO_2添加の場合では最大約0.4倍、ZnO添加の場合では最大約0.5倍程度の減少を確認した。それに伴って、ZTも向上し、CeO_2添加の場合は5.Ovol.%添加のときに極大値をとり、Bi_2Te_3単相薄膜に対して、約4倍程度の熱電特性の向上を確認した。ZnO添加の場合では0.92vol.%添加のときに極大値をとり、2倍程度の熱電特性向上を達成した。 このような手法は母相がp型熱電材料であるSb_2Te_3などのキャリアの異なる材料や、高温領域で特性が高いとされる酸化物系熱電変換材料薄膜においても適用でき、幅広い応用が可能であると考えられ、さらなる熱電特性の向上が期待される。
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